蔦屋重三郎展に行ってきました (東京 サントリー美術館)
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投稿日 | 2010年12月16日 19:12 |
サントリー美術館で開催中の「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」展に行ってきました。
この展覧会は普通に浮世絵を紹介展示する内容ではなく、蔦屋重三郎という人に焦点を当てた面白い展覧会だという話で興味を持ったので観に行ってきました。
TUTAYAといえば、レンタルDVD屋さんですが、この店名も、江戸時代の名プロデューサー、情報発信仕掛け人の蔦屋重三郎の名字から取った名前なんだそうです。
重三郎は吉原に生まれて、本の出版業を始めてからは地元の吉原の今で言うなら風俗店のガイドブックを発行して大当たり。
その後は手堅く医学書や古典文学の出版もしたとか、初めて知る内容も多くて楽しめる展覧会でした。
第1章 蔦重とは何者か?江戸時代の名プロデューサー
画像は蔦重さん本人で、本に自分を登場させていたということで、出版裏話ネタバレのギャグ漫画ぽい版画挿絵出版物も展示されていました。
企画、制作、販売までを手掛ける名プロデューサーだったそうです。
第2章 蔦重を生んだ吉原 江戸文化の発信地
吉原生まれの地縁を生かし、吉原ガイドブック(吉原細見)の出版から事業を始めたんだそうです。
当時の吉原遊女はファッションリーダーだったそうで、おいらんの錦絵などもファッション紙感覚で売れていたのでしょうか。
また、遊女の宣伝広告にもなっていたので遊女本人たちから出資を集い、その額に応じて衣装や刷りの豪華さ具合も変えて掲載していたようです。
豪華な色刷りの出版物で、吉原遊郭がいかに華やかな世界かを江戸中に宣伝しようとしたんだそうです。
展示品では、当時の2大人気遊女と身の回りのお世話をする見習いの新造と かむろなど多人数で華やかに多色刷りをして、遊女の狂歌を一緒に乗せたものが。
今のグラビアや、タレントブログみたいなものですね。
面白かったのは遊女の1日を2時間おきに絵に描いた図。
お客さんを取ったりお店で客待ちをしてる以外は、午後に新造さんらを連れて吉原の中にある茶屋にお茶をしに行ったり、普段着の自由時間も描いてありました。
また蔦重は狂歌界にも参入。
自ら狂歌名を「蔦唐丸つたのからまる」として狂歌を詠み、浮世絵の多色刷りと当時流行の狂歌を合体させた新ジャンルを確立しました。
これなんか、MVとかPVですね。
展示品では虫と歌を一緒に刷った画本虫撰がありました。
また学問ブームに乗って教科書、医学書、古典文学の出版もし、版元として地盤を固めるなど時代の流れを敏感に読むセンスを身に着けていたと。
すごい人ですね~!
ところが目立ち過ぎて、寛政の改革でみせしめに罰せられたりします。
が、めげずに革新的な浮世絵を発信。
第3章 美人画の描く明治・歌麿 美人大首絵の誕生
それまでも役者絵の大首絵はあったのですが、美人画で描かせて大ヒット。一世を風靡したそうです。
第4章 写楽発見 江戸歌舞伎の世界
写楽の展覧会では無いので数は少ないですが良い作品が展示されてました。
蔦重といえば、写楽のプロデュースで一番有名ですね。
面白かったのは、歌舞伎の女形の中山富三郎の愛称です。
なよなよした演技で「ぐにゃ富」とか「ふにゃ富」というあだ名だったそうです。
これはちょっと気の毒な気もします。
写楽の描いたぐにゃ富さんはザブングルの加藤さん似です。