130323 茶道具の美@静嘉堂文庫美術館(世田谷)
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投稿日 | 2013年03月26日 21:47 |
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受け継がれる東洋の至宝 PartⅢ ...
<静嘉堂文庫美術館> 世界に三碗のみが現存する「曜変天目」(すべて国宝)のうち、最も光彩が鮮...
松本から、高速バスで、渋滞もあって、5時間あまり…。
20年ぶりくらいに、行ったのですが、相変わらず遠い…。
静嘉堂文庫は、三菱二代社長 岩崎彌之助と、四代社長 小彌太父子によって設立。
中国の古典「詩経」の「籩豆静嘉(へんとうせいか)」からとったもので、
祖先の霊前への供物が立派に整うことを意味するそうです。
つまり、ご先祖への奉げものなんですねー。
国宝・重文が供物とは、さすが三菱財閥!!
名前の通り、初めは蔵書のために設立し、
その後、美術庫と鑑賞室を作り、美術館になったとのこと。
まあ、広い広い。
正門から、結構奥まで続くアプローチ。
120周年ののぼり
緑地に指定されていて…、ツバキが咲いていました。
アプローチを抜けると、見えてきました!
すぐに見えるのは、文庫の方。
奥に、平成4年に100周年を記念して建て替えられた美術館があります♪
静嘉堂文庫といったら、なんといっても、
①国宝「曜変天目(稲葉天目)」(南宋・建窯)ですねー♪
朝一で、行ったのですが、皆、曜変天目へ一目散!
20年前と変わらず、キラキラ輝いていました…。
それと今回は、外側の釉薬の垂れ具合の絶妙さにため息でした…。
”垂れ”が、流れ落ちず、溜まって、止まってるんですよね。
あの茶碗の正面は、もしかしたら、あの”垂れ”で決めるのでは?
(模様だと、どこかどこやら、同じようで、わからないし…)
もうひとつ、単体でブースに飾られていたのは、
②重文「油滴天目」(南宋・建窯)
形が、まさにあさがおのように開いて、大振り。
油滴は、ライトのせい?か、内側よりも外側の方が、
まるで、紅葉が始まった葉っぱのように、緑や赤の色が見えて綺麗…。
他にも、いいもの目白押しで、
③玳皮天目(南宋・吉州窯)は、
黒釉の上に白釉(灰釉)をかけることで、
まるで、亀の甲羅のように見えるんですが、
ほんと、どうしてこうなるんだろう…、という模様!
玳皮天目では、写真などでこれをよく見るので、代表的なものですね。
④灰被天目 銘埋火(南宋・茶洋窯)は、
小堀遠州所蔵だったもの。
灰被天目とか、茶洋窯とかは、初めて見た気がします。
刷毛で、銀色に見える縦のラインがさっ!!と入っていて、かっこいい♪
⑤灰被天目(毛利天目)(南宋・茶洋窯)は、
玉虫色で、何色と言っていいか分からない色合いがキレイでした。
⑥井戸茶碗 越後(朝鮮、16C)は、カイラギが見事!
⑦堅手茶碗 銘秋かぜ(朝鮮、16C)は、
かなり沓っていて、初めに取り上げた人は、
よくこれに”美”を見出したなー、と思うくらい。
⑧御本雲鶴筒茶碗 銘玉鬘(朝鮮、17~18C)は、
下方が球形で、上が筒という、かなり変わったカタチ!
そして、長次郎!
⑨長次郎作 黒樂茶碗 紙屋黒(桃山、16C)は、
元々、博多の豪商 神屋宗湛が持っていたことからの銘。
長次郎にしては、かなり大胆なくぼみ、ヘラ目があり、、強い作為がありました!!
珍しい!!
⑩宗入(五代) 黒樂茶碗 銘山からす(江戸、17~18C)は、
筒茶碗で、かなり長次郎を意識したようなカセ具合。四筋のヘラ目。
⑪左入(六代) 黒樂茶碗(江戸、18C)は、
かなり大振りで、口縁の一か所を大胆に切って、違えていました!!
すげー♪こういうところが、樂家のすごいところだよなー。
江戸時代にこれをやってるんだから…。
茶碗が、25点出ていたんですが、半分近くも紹介してしまった…。
いや、それくらい、面白いもの目白押しだったんですよー
で、茶碗と同じくらい、目玉だったのが茶入
まずはなんといっても!
①唐物茄子茶入 付藻茄子(松永茄子) 大名物(南宋~元・13~14C)
これは、アニメ「へうげもの」でも、本能寺の変の焼け跡から、
拾い出しているところをやっていましたが、
本能寺の変、大坂夏の陣で罹災するも、塗師藤重籐元・籐巖父子の
漆繕いで、本当に見事に、傷跡は見えませんでしたっ!!
当時、松永久秀がこれを献上し、大和一国を安堵されるほどのものですからねー。
②唐物茄子茶入 松本茄子(紹鴎茄子) 大名物(南宋~元・13~14C)
これも、X線で見ると、バッラバラになっていて、
でも、見た目には、まったくわからないというもの。
修復への執念を感じさせました。
③唐物瓢箪茶入 稲葉瓢箪 大名物(南宋~元・13~14C)
とっても、かわいいカタチで、かなり小ぶり♪
④唐物茄子茶入 利休物相(木葉猿茄子) 大名物(南宋~元・13~14C)
飯を盛る物相という器に似ているところからこの名がついたそう。
⑤瀬戸芋子茶入 (古瀬戸) 銘雨宿 中興名物(室町・16C)
これは、本当に芋の子みたいなカタチ!
⑥膳所(ぜぜ)瓢箪茶入 銘白雲 中興名物(江戸・17C)
膳所窯は、遠州七窯のひとつ。
やっぱり、カタチがかわいかったー♪
ふう…、茶入も15点だったんだけど、
まあ小さいながらも、すごいもの揃いで、すごかった…。
で、次は、花入。
①青磁鯱耳花入 龍泉窯(南宋~元・13~14C)
胴部分二か所に、割れを修繕するための”鎹(かすがい)”が打ってありました。
かすがいを打ってあるものでは、馬蝗絆が有名ですが、
当時は、こういう修理法を結構やっていたんでしょうかねー。
②飛青磁不遊環花入 龍泉窯(元~明初期・13~14C)
飛青磁とは、釉下に鉄絵の諸色飛び斑文のある青磁のこと。
色がとても瑞々しくて、潤いがありましたー!
③三島たんぽ花入 (朝鮮、15C)
俵型の面白いカタチ♪三島の柄も細かい。
他にも…
★伝 大西浄清(京・大西家二代)作 舟形釜 (江戸、17C)
すっごい面白いカタチ♪
よくあんな複雑な形を作れるなー。
★呉須染付菱馬水指 (明、17C)
カタチが六角形で、ひし形!絵は稚拙だけど、カワイイ♪
★黒田宗伝(2代)作 竹水指 (昭和初期、20C)
鹿児島田ノ浦の竹の根に近い太い部分で、水指を作っている!
すごい大きいので、びっくり!
内側は、黒塗りしてあるらしい。
ふへー、本当に怒涛の作品ラッシュだった…。
お腹いっぱい(笑)
思い切って、見に行ってよかったー。
岩崎父子のすごさをつくづく感じました…。
静嘉堂文庫美術館 HP
http://www.seikado.or.jp/index.html
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http://ameblo.jp/tonton3/day-20130214.html