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隠﨑隆一 事に仕えて KAKUREZA...

本展では、1983年の修業時代に制作された作品から造形性の高い彫刻的な作品、食器、茶碗など最新...

さてさて、

前回の展覧会もご紹介した

菊地寛実記念 智美術館で開催中の~隠﨑隆一 事に仕えて~

を拝見しました。

隠﨑隆一さんは、

ゆこもりが20年以上前から大好きな現代陶芸作家のお一人。

でもでも、作品はデパートとかギャラリーとか日本伝統陶芸展とかのグループ展でしか、

見れても数点を拝見したことしかなく、勿論器のみ。

個展しかも、昔のものから今現在のものまで一堂に、オブジェまで、

なんてことは、初めて~~~!!!

と思ったら、こういう「回顧展」的なものは、初の試みだそう。

智美術館、good job!!

いやー、今回は、ゆこもりも全部好きな作品だから、

気になった作品を挙げきれない…。

なので、学芸員さんに教わった情報をお伝えしつつ、

作品目録のリスト順にご紹介しますー♪

長くなると思いますが、すみません…。

※これから見る方は、ネタバレしているので、展示を見てからにしてください!!


①広口花器(cat.no1 1983)

隠崎さん、33歳の時、まだ修業時代に、朝日陶芸展で入選した作品。

電気窯で緋襷の、隠崎さんにしてシンプルな作品だナー

と思ったら、ほぼ原点の作品だった。

でも、今作っていてもいいような、既に完成された均整のとれたカタチなのはすげ~。

②ファランクス(cat.no2~4 1991,92,2013)

西洋甲冑のようなカタチ。

平安貴族のかぶっていた「烏帽子(えぼし)」もイメージしているそう♪

正面の「赤い斜めの線刻」が効いています。

同じ「ファランクス」でも、作品により、電気窯、窖(あな)窯、登窯を使い分けています。

③北想(cat.no8~11 1998,2004)

ペンギンとか、ウサギに見えたけど、実は、「鳥」だそう。

渡り鳥とかけているわけですねー。

④水蛭子(ひるこ:cat.no12~17 2001,2004)

水蛭子は、神話上の神。

造形的フォルムと、青の釉薬がステキでした。

⑤双(cat.no20,21 2010)

土台部分は石膏型を使い、上部を手びねりで成形しているそう。

隠崎さんが、石膏型を使うなんて、真逆なイメージで意外~。

⑥芯韻(cat.no22~27 2002~2013)

なんと、ロクロ成形してから、削り出して、上下合わせているそう。

表面のテクスチャーがとても「ギザギザ」しているなあ、と思ったら、

隠崎さんが細かくスクラッチしているそう。

「芯韻」って、そういうところもあるのかも。

⑦備前三足花器(cat.no28 2004)

[備前」と入っているのは、基本、備前土以外は使っていない時に入れるそう。

余談ですが、「重し」として、中にお米を入れてありました。

何故、お米なんだろう…。

智美術館は、建物自体が免震構造だそうで、

だから、展示物に、テグスとかが張ってないんですねー。

⑧黒香炉(cat.no34 2010)

フタが、アルミか何か、異素材に見えます。

後で出てくるUna Mistura シリーズの

オリベ香炉(cat.no52 2012)の「銀色」のフタは、

アルミとかに見えますが「木」だそうです。

⑨Zoi(cat.no35,36 2010)

Zoiは、Zoeからの派生?とかで、隠崎さん的には、「人」みたい。

口縁部の「穴」が、口に見えていたので、なるほどー、と思いました。

⑩黒酔器(cat.no37 2010)

見慣れた徳利♫

ゆこもり的には、これこそが「THE 隠崎」!

⑪備前三足花器(cat.no38 1997)

ダンスをしている女性、しかも、「どうだっ!」と言わんばかりの(苦笑)…

に見えます。

⑫三足花器(cat.no22~27 2002~2013)

ポスター・チラシにも使われている作品。

こちらは、ドガの「踊り子」のような、気品のある淑女のような感じに見えます。

⑬Una Mistura シリーズ(cat.no40~56 2004~2013)

Una Mistura=混淆(こんこう)

最近作!!

このシリーズで、台皿、抹茶碗から、

写真のようなパーティションまで制作されていました。

パーティションは、金属をベースにしてあり、

五枚ともアルミ、樹脂などいろんな素材を使うとともに、

錆びまで、隠崎さん自身がしたそう。

どれも、微妙に変えているんですよー!

折井着色所さんとか、プロに任せたのかと思ったら、

で、Una Mistura シリーズは、どういうものかというと…。

備前は元々、田んぼの土を使っています。

田んぼの土には、微生物も多く住み、土に有機物が混ざり、

伸びやすく、器にしやすいいい土になるわけですね。

でも、もちろん量に限りがあります。

外部から入った「新参者」「外様」の隠崎さんには、

使える量に限界があるでしょう。

そこで、今までの備前焼では使わなかった

田土でも使えない土だとか、山土を使えないか…、

と考えた末に、出来たシリーズだそうです。

荒々しい、野趣味溢れた作風で、

釉の掛かっている所なんか一瞬、大理石??と思いました。

実際、初めのうちは、「マーブル~」と言ってたこともあるみたい。

基本、タタラ作りになるので、そこから、派生したカタチですが、

そこからさえもあぶれた少しの土を最終的に、茶碗にしたのが

⑭備前埦(cat.no56 2013)

茶碗・器として機能するように、ギリギリの粗い土を使っている気がします。

なので、最初見たときは、「隠崎さんにしてはおとなしいな…」なんて、

生意気にも思っちゃいました(苦笑)

粗い土でも、段々、細かくなってきたとか、そういうことも関係しているでしょう。

確か、再生土がいろんな土を混ぜて、使いやすくした結果、

単調なものを作りやすいという性質があったような気がするので、

ほんと、さじ加減次第だろうな、と隠崎さんのしていることに、

陶芸家みんなが思っている事

(土の有限性とか、土を焼くことは不燃ごみをつくりだしているだけではないか等々)

の未来が垣間見れた気がしました。

3/30(日)までです。

なかなか見られない作品が目白押しなので、絶対見ないと損します!!

それと、図録も閉じ方とか、一昔前風の字体とかを

隠崎さんがとても凝ったそうで、お値打ちですよー♪



智美術館 HP

http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html

追記 今回は、智美術館さんのご厚意で、

学芸員さんに丁寧なご説明を頂きました。

改めて、お礼申し上げます。

ありがとうございました!!