140221 隠﨑隆一 「事に仕えて」@智美術館(虎ノ門)
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投稿日 | 2014年02月23日 22:22 |
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隠﨑隆一 事に仕えて KAKUREZA...
本展では、1983年の修業時代に制作された作品から造形性の高い彫刻的な作品、食器、茶碗など最新...
さてさて、
前回の展覧会もご紹介した
菊地寛実記念 智美術館で開催中の~隠﨑隆一 事に仕えて~
を拝見しました。
隠﨑隆一さんは、
ゆこもりが20年以上前から大好きな現代陶芸作家のお一人。
でもでも、作品はデパートとかギャラリーとか日本伝統陶芸展とかのグループ展でしか、
見れても数点を拝見したことしかなく、勿論器のみ。
個展しかも、昔のものから今現在のものまで一堂に、オブジェまで、
なんてことは、初めて~~~!!!
と思ったら、こういう「回顧展」的なものは、初の試みだそう。
智美術館、good job!!
いやー、今回は、ゆこもりも全部好きな作品だから、
気になった作品を挙げきれない…。
なので、学芸員さんに教わった情報をお伝えしつつ、
作品目録のリスト順にご紹介しますー♪
長くなると思いますが、すみません…。
※これから見る方は、ネタバレしているので、展示を見てからにしてください!!
①広口花器(cat.no1 1983)
隠崎さん、33歳の時、まだ修業時代に、朝日陶芸展で入選した作品。
電気窯で緋襷の、隠崎さんにしてシンプルな作品だナー
と思ったら、ほぼ原点の作品だった。
でも、今作っていてもいいような、既に完成された均整のとれたカタチなのはすげ~。
②ファランクス(cat.no2~4 1991,92,2013)
西洋甲冑のようなカタチ。
平安貴族のかぶっていた「烏帽子(えぼし)」もイメージしているそう♪
正面の「赤い斜めの線刻」が効いています。
同じ「ファランクス」でも、作品により、電気窯、窖(あな)窯、登窯を使い分けています。
③北想(cat.no8~11 1998,2004)
ペンギンとか、ウサギに見えたけど、実は、「鳥」だそう。
渡り鳥とかけているわけですねー。
④水蛭子(ひるこ:cat.no12~17 2001,2004)
水蛭子は、神話上の神。
造形的フォルムと、青の釉薬がステキでした。
⑤双(cat.no20,21 2010)
土台部分は石膏型を使い、上部を手びねりで成形しているそう。
隠崎さんが、石膏型を使うなんて、真逆なイメージで意外~。
⑥芯韻(cat.no22~27 2002~2013)
なんと、ロクロ成形してから、削り出して、上下合わせているそう。
表面のテクスチャーがとても「ギザギザ」しているなあ、と思ったら、
隠崎さんが細かくスクラッチしているそう。
「芯韻」って、そういうところもあるのかも。
⑦備前三足花器(cat.no28 2004)
[備前」と入っているのは、基本、備前土以外は使っていない時に入れるそう。
余談ですが、「重し」として、中にお米を入れてありました。
何故、お米なんだろう…。
智美術館は、建物自体が免震構造だそうで、
だから、展示物に、テグスとかが張ってないんですねー。
⑧黒香炉(cat.no34 2010)
フタが、アルミか何か、異素材に見えます。
後で出てくるUna Mistura シリーズの
オリベ香炉(cat.no52 2012)の「銀色」のフタは、
アルミとかに見えますが「木」だそうです。
⑨Zoi(cat.no35,36 2010)
Zoiは、Zoeからの派生?とかで、隠崎さん的には、「人」みたい。
口縁部の「穴」が、口に見えていたので、なるほどー、と思いました。
⑩黒酔器(cat.no37 2010)
見慣れた徳利♫
ゆこもり的には、これこそが「THE 隠崎」!
⑪備前三足花器(cat.no38 1997)
ダンスをしている女性、しかも、「どうだっ!」と言わんばかりの(苦笑)…
に見えます。
⑫三足花器(cat.no22~27 2002~2013)
ポスター・チラシにも使われている作品。
こちらは、ドガの「踊り子」のような、気品のある淑女のような感じに見えます。
⑬Una Mistura シリーズ(cat.no40~56 2004~2013)
Una Mistura=混淆(こんこう)
最近作!!
このシリーズで、台皿、抹茶碗から、
写真のようなパーティションまで制作されていました。
パーティションは、金属をベースにしてあり、
五枚ともアルミ、樹脂などいろんな素材を使うとともに、
錆びまで、隠崎さん自身がしたそう。
どれも、微妙に変えているんですよー!
折井着色所さんとか、プロに任せたのかと思ったら、
で、Una Mistura シリーズは、どういうものかというと…。
備前は元々、田んぼの土を使っています。
田んぼの土には、微生物も多く住み、土に有機物が混ざり、
伸びやすく、器にしやすいいい土になるわけですね。
でも、もちろん量に限りがあります。
外部から入った「新参者」「外様」の隠崎さんには、
使える量に限界があるでしょう。
そこで、今までの備前焼では使わなかった
田土でも使えない土だとか、山土を使えないか…、
と考えた末に、出来たシリーズだそうです。
荒々しい、野趣味溢れた作風で、
釉の掛かっている所なんか一瞬、大理石??と思いました。
実際、初めのうちは、「マーブル~」と言ってたこともあるみたい。
基本、タタラ作りになるので、そこから、派生したカタチですが、
そこからさえもあぶれた少しの土を最終的に、茶碗にしたのが
⑭備前埦(cat.no56 2013)
茶碗・器として機能するように、ギリギリの粗い土を使っている気がします。
なので、最初見たときは、「隠崎さんにしてはおとなしいな…」なんて、
生意気にも思っちゃいました(苦笑)
粗い土でも、段々、細かくなってきたとか、そういうことも関係しているでしょう。
確か、再生土がいろんな土を混ぜて、使いやすくした結果、
単調なものを作りやすいという性質があったような気がするので、
ほんと、さじ加減次第だろうな、と隠崎さんのしていることに、
陶芸家みんなが思っている事
(土の有限性とか、土を焼くことは不燃ごみをつくりだしているだけではないか等々)
の未来が垣間見れた気がしました。
3/30(日)までです。
なかなか見られない作品が目白押しなので、絶対見ないと損します!!
それと、図録も閉じ方とか、一昔前風の字体とかを
隠崎さんがとても凝ったそうで、お値打ちですよー♪
智美術館 HP
http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html
追記 今回は、智美術館さんのご厚意で、
学芸員さんに丁寧なご説明を頂きました。
改めて、お礼申し上げます。
ありがとうございました!!