興味深い企画でした
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投稿日 | 2014年07月19日 14:12 |
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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展
<京都市美術館> およそ1年の修復を経て、モネの《ラ・ジャポネーズ》が色鮮やかによみがえります。
今回の展覧会は【ボストン美術館】のコレクションによる企画展なんだけど、実際この企画は「ボストン美術館ならでは」なんだよね。
ボストン美術館は、日本の明治時代、かのフェノロサと岡倉天心によって、日本の秀逸な国宝レベルの美術品を多数収蔵した世界屈指の美術館なんだよ。
だから、影響を与えた側の浮世絵を中心とする日本美術と、影響を受けた側の印象派やポスト印象派の作品とを同時に手配できるんだよ。
多数の著名な美術品を収蔵する美術館だけど、今回この「ジャポニスム」という切り口で企画したのはとても面白い取り組みだったんじゃないかな?
展示はまさにその対比を見せていて、まず日本の浮世絵を展示し、その横に影響を感じられる西洋画を並べてあったよ。
そうしてみると、本当にその影響が一目瞭然。構図だったりモチーフだったり、偶然では済ませられない類似点が見て取れるんだよね。とても興味深かった。うん。
当時、それまでの写実主義的な絵画から新たな画風「印象派」に進み始めていた新進気鋭の画家達にとっては、まさに日本の浮世絵こそが目指す印象派のカタチで、それをお手本にしながら、油絵として洋風に表現しようと試みていたようだよ。それが19世紀終わり頃から20世紀初頭までの一大ムーブメント「ジャポニスム」だったらしい。
さて、作品についてだけど、展示されていた浮世絵については、俺もこのところ多くの浮世絵を観てきたから、特に大きな感動は無かったよ。
でも、その隣に展示されている西洋画の中には、思わず足を止めてしまう素晴らしい作品がいくつもあったよ☆
その中で特に印象が強かった4点を以下に記す☆
1. まずは、展覧会のメインイメージとして用いられているクロード・モネ「ラ・ジャポネーズ」。
目に鮮やかな赤い着物を羽織り、扇子を手にこちらを振り向く金髪の女性。奥の壁面には多くの日本の団扇が配置され、まさに当時の熱狂的な日本ブームを垣間見れる作品だよ。
モネというと「睡蓮」が有名な印象派を代表とする画家だけど、あんなボンヤリした水面の蓮だけじゃなく、こんな鮮やかな作品も描いていたんだよね(笑)
実際のこの作品は、描かれている女性が等身大をゆうに超える大作で、美術館の壁面を大きな存在感で飾っていたよ。近くから、そして後ずさって、長いこと時間をかけて鑑賞した作品だったよ。素晴らしかった。
2. それから、エドワード・ウィリアム・ノートン「夜」。
月明かりの下、海に浮かぶ船と、海面に映る姿を描いた作品なんだけど、その月明かりの表現が何とも言い難い素晴らしさだったよ。
この作家が明確に印象派に属しているのかは分からないけど、まさにこれこそ「印象」だと思った。観ていると自分がその景色のを実際に見ているように思えてしまう程だったからね。
細部うんぬんではなく、作品全体から印象としてリアリティが喚起される。素晴らしい作品だと思ったよ。
初めて名前を知った画家だったけど、これは大きな収穫だと思ったな。うん。
3. それと、チャールズ・ハーバート・ウッドペリー「フロリダ海岸沖」。
葛飾北斎が描いた「波」の表現に影響を受けたというこの作品は、途方もない質量の波のうねりが描かれていて、恐怖すら感じる程の迫力。
北斎のそれがどちらかというとシンボル的にデザインされているのに対して、印象としてリアリティを感じさせる作品だったよ。
4. そして、カミーユ・ピサロ「雪に映える朝日」。
歌川広重が描いた雪景色の街並みの光の表現にインスパイアされた作品らしいけど、印象派らしいタッチで、雪の朝の明るい静寂と清らかな空気感が伝わってくる作品だよ。
描かれている樹木と、その前に配置された人の大きさの差が、この作品の中の空間をひときわ大きく広げているように感じたね。
....... と、この他にもゴッホだのゴーギャンだのムンクだのロートレックだの、著名な作家の作品が多数展示されていて、見応えのある展示だったよ。
ちなみに、記念に買った絵ハガキは1のルノワールと4のピサロ。案外絵ハガキの種類が少なかったのが不満だったな。
日本の伝統芸術(浮世絵)が、世界的に有名な多くの画家達の作品に少なからず影響を与えているというのを知ることが出来たのはとても興味深かったよ。
と、同時にちょっと誇らしくもあったね。日本の芸術を見直した感じ(笑)
単に展示を流し観て行くんじゃなくて、こうしたちょっとした「与えられた着眼点」に沿って観るというのも面白いと思ったよ。
メインの「ラ・ジャポネーズ」だけでも一見の価値はあるから、機会があったら是非どうぞ。楽しめると思うよ。うん^^