ボッティチェリの魅力満載でした♪
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投稿日 | 2015年05月23日 17:02 |
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ルネサンス、ボッティチェリというと、あの「ヴィーナスの誕生」や「春」などのおおらかな人間賛歌を描いた画家というイメージでしたが、今回展示されている絵は「受胎告知」、「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」などの聖画が多く、最初はとても意外でした。
けれども、ルネサンスの繁栄を支えたフィレンツェの人々は、聖書で禁止されている高利貸しではないものの、為替手形で利息を得ていることに後ろめたさを感じて、その気持ちを和らげるために聖画を注文したという解説に納得しました。
ただ、そのようにして巨万の富を築いたメヂィチ家のような実力者のおかげで芸術も花開き、ルネサンスと言う今尚歴史に名を残す一時代が幕をあけたのだと思うと、メヂィチ家の人々に感謝したくなりました。
さて私が一番楽しみにしていたのは、門外不出のボッティチェリの傑作、「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」です。残念ながら、硬質な感じのマリアに畏敬の念を感じたものの、もう少し以前に描かれた「ケルビムを伴う聖母子像」の柔らかなまなざしのマリアの方が、私の好みでした。
もうひとつの目玉、横幅555cmのフレスコ画「受胎告知」は、さすがに迫力がありました。絵の前に長椅子が用意されていたので、座ってゆっくり鑑賞することができました。この絵のマリアも少し硬い感じでしたが、大天使ガブリエルはとても人間的で、今まさに風と共にマリアの前に現れたという雰囲気で、いくら眺めていても飽きない躍動感がありました。
悲しいことにメヂィチ家の繁栄は長くは続かず、代って表れた修道士のサヴォナローラによって、贅沢は敵だとみなされ、たくさんの絵画が燃やされてしまったそうです。ボッティチェリもその考えに賛同し、晩年は地味な宗教画を描くようになり、人気も衰えてしまったとのことでした。
けれども、今尚残されたフィレンツェの繁栄の軌跡を感じることができて、とても有意義なひと時でした。