まさに教科書向けな上品な作品たち
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投稿日 | 2016年04月30日 00:00 |
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安田靫彦展
<東京国立近代美術館> 《黄瀬川陣(きせがわのじん)》や《飛鳥の春の額田王(ぬかだのおおきみ...
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4/28、GWギリギリ手前の平日の午後だからか、結構空いていた感じでしたね。ゆっくり観ることができました。
安田靭彦(ゆきひこ)は明治17年に生まれて昭和53年に亡くなった近・現代の日本画家で、前田青邨と並ぶ歴史画の大家って言われている人。
その作品は日本史とか古典とかの教科書に掲載されていて、俺も自分?娘の?確かにどこかの教科書で見た覚えがあります。
その作風は「美しい線」「澄んだ色彩」「無駄のない構図」が特徴とのこと。 確かにそんな作品の数々でした。
色調としてはパステルのような薄緑色が差し色として目を惹きました。多く使わずに何色かを効果的に配置している感じでしたね。
そして肌は澄んで一片の曇りも無く、時に陶器のようで。
着物や装備の柄は細部まで細かく正確に描かれているところは作家の性格が表れていると感じました。
徹底的な時代考証によって描いていたようですね。
さもありなん、という感じでした。
さて、館内に展示されている作品は聖徳太子や卑弥呼、額田王、源頼朝、義経、豊臣秀吉といった歴史上の人たちで、確かにどこかで見たことのある作品でした。
モチーフとなる歴史上の人物たちはちょっと美化され過ぎているような気もしましたが、確かに教科書向きの「正しい絵」だと思いました。
個人的には「上品な絵」は嫌いではないです。例えば上村松園とか。
優美な線に透明感のある色遣い、無駄を排除したシンプルな構図、空間とモチーフのバランス....どれも好きなのです、この安田靭彦の作品達もそうなのです....。
なのに何か違う。松園の作品を観た時のような感動・感嘆が起きなのです....残念ながら。
俺の場合、多分それは【女性を描いた作品】に対する好みの問題なのだと思います。
男性を描いた作品は素晴らしいと感じました。
例えば重要文化財『黄瀬川陣』の源頼朝・義経の気品のあるたたずまいや凛として意思を感じる表情だったり、横山大観を描いた『大観先生』から感じる大観の豪快な人柄だったり、山本五十六を描いた『山本五十六元帥像』からは聡明さだったり意思の強さだったり、人間としての器の大きささえ想像させるような空気感が伝わってきました。
この展覧会で足を止めて見入った作品は圧倒的に男性を描いた作品でした。俺の琴線に触れたのは。
一方で、女性を描いた作品は俺としてはちょっとダメでした。
多分その理由は「目」だと思います。目の描き方。
細くて綺麗な線ではあっても、目をしっかり線で描きすぎているように思いました。
さらに黒目が小さい。三白眼というか...血が通ってない表情に見えるのです、陶器のような澄んだ色の肌とあいまって。俺には。
男性を描いた作品からはモチーフを超えた色々なものが伝わってくるのに、なぜか.....。
額田王や卑弥呼を描いた作品など、定評のある女性像作品も多いので、多分これは俺の個人的な好みの問題なのだと思います(~〜~;) でも、どうしても好きになれなかったな。
作品点数としては100点近い、なかなかのボリュームの展覧会だったわりには、案外サラっと観終えた感じでした。