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先日、会期終了が迫る中やっと行ってきました

『北斎ー富士を超えてー』



かなり混んでましたがどうしても来たかった美術展なので、混んでることよりもなんとか来れたうれしさの方が断然上回ってます。


まずいつも通り音声ガイドを借りました。
スペシャルナビゲーターは俳優の三宅弘城さん。
先日のNHKドラマ「眩~北斎の娘~」で弟子の役をされていましたね。

「大人計画」の役者さんで、私が最近印象深かったのは連続テレビ小説「あさが来た」の亀助役といえばわかりやすいかもしれません。



今回の展示は北斎60歳から逝去する90歳までの30年間に焦点を当てた展示で、絵師として新しい表現に挑戦し続けた生涯の中で神の領域に迫る晩年の作品です。

また実の娘でありすぐれた浮世絵師だったお栄(応為)の作品も、推定作を含めて10点も現存しない内の3点を観ることができました。

北斎に「美人画ではかなわない」と言わせたほどの応為の作品は、光と影を意識した美しい作品

特に好きなのは「吉原格子先之図」

吉原の遊女屋から漏れる灯りが幻想的で、光と影が美しい作品です。


葛飾北斎といえば浮世絵や「富獄三十六景」を思い浮かべる方が多いと思います。

わたしも今回の『北斎ー富士を超えてー』を見るまでは、「富獄三十六景 神奈川沖浪裏(グレート・ウェーブ)」を見るのを楽しみにしていました。

ところがもちろん「富獄三十六景」に観る、色彩と構図は大胆かつ繊細なところが大好きなんですが、人生の終盤に描かれた肉筆画に特に圧倒されました。



特に展示の最後。「雪中虎図」
もちろん肉筆画は印刷物などでは見たことがあるので知ってはいましたが、実際に絵の前に立つとやっぱり違いました。

90歳で描いた「雪中虎図」は浮世絵の時代とは打って変わって、見えないものを描こうとしているかのようでした。

白い雪の中を天を見上げながら飛ぶように翔ける虎。

微笑んでいるような印象的な虎の表情に見入ってしまいました。

雪が積もって覗いた笹の葉は虎の爪のかたちに呼応していて、虎の表情に視線が集中します。

見るものに迫ってくるようなエネルギーが大きすぎて、絵の前に立った時の自分は鑑賞するなんて目線ではなく、絵の前に立ちすくむ、そんな感覚でした。

もっと書き続けたい。

そんな祈るような北斎の作品を観ると泣きそうになりました。

この作品には嘉永2年正月で90歳と書かれており、同年の4月18日に北斎は亡くなりました。

 

北斎が90歳の頃、医者から薬ではもうどうにもならないと告げられた時、「天があと5年命をくれたなら、真性の絵師になれただろうに」といったと言われています。

 

「極める」というのはゴールなどないのでしょうね。

これからは簡単に「極める」などという言葉を使うことすら恥ずかしくなりそうです。

このブログを書きながら、もう一度北斎に会いたくなりました。

 

『北斎ー富士を超えてー』

会期:2017年10月6日(金)~11月19日(日)

あべのハルカス美術館




 

 

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