刹那の中で
影に住み そして時間が私になくなるとき
追憶はふたたび嘆息のやうに沈黙より
かすかな言葉たちをうたはせるであらう
立原道造の詩です。
短命だった作家ですが
だからこそ純粋に情熱を持って制作活動を行なったのかもしれません。
この詩文表現の中で
時間が私になくなるとき
というところが響くポイントで
私に時間がなくなる、のではなく
時間が私になくなる、と表現するのは
私の存在は、時間の中では、ほんの一瞬だという風に捉えることが出来ます。
刹那という時間の概念を伝えようとしているのかもしれません。
現代詩文書部の役割は
自己の表現の題材として、ただ詩文を選び、書くという行為で終わるのではなく
命を削り情熱を注いで文学の発展に寄与した作家たちの
その文学の継承という意味が大きいものだと感じています。