シュルレアリスム宣言100年 シュルレアリスムと日本
【小牧源太郎「民族系譜学」】
全体的に深緑色で深海を思わせるただならぬ雰囲気の中央に得体のしれない存在が三分節に分かれ、上部には、目玉のような球体が3つ、中部、下部から白く光る管がうねるように漂う。あきらかに異様な世界に引き込まれます。周囲をよく見ると、子宮にいる胎児の姿が無数に漂い、生命の起源を表わすかのような世界観、もう一度中央の物体を俯瞰で見ると、もしかしてこれは、カマキリではないか、いや、肝心のカマが見当たらないと思っていたら、茶色カマキリそのものが下部の赤い花の横に厳然とおり、その瞬間、大きな物体もやはりカマキリだったのかと腑に落ちました。そして、周囲の胎児の姿からへその緒の存在と思っていた怪しい管が、カマキリのお腹の中に寄生するハリガネ虫にも見えてきました。背景上部の遠景が何層にも広がる工場地帯のシルエットのようにも見え、大変不思議な絵に出会いました。