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【F3展】会期③ 尾張真理+納富馨子 ...

”美大生をつなぐ72日間の連続展” 折り返し地点の第3会期スタートです! 尾張...

同じ時代にアートをしている私たちに、大学や専攻の枠を超えたつながりを作りたい。それも、電子回路上ではなく、「対面」のつながりを作りたい。
そんな問題意識に端を発する「Face to Face to Face(F3展)」だが、3回目を数える本会期は、私の思いが最もかなった会期だった。

1階に二人、地下階に二人。
本企画展中、同時展示者数という点では最多の会期。
4人が顔を合わせることで、12通りの化学反応が生まれる期待があった。

二人で展示をおこなう際の空間の使い方について、気付いたことがある。展示者たちは、自然に2つのやり方に分かれる。一つの空間に、二人がそれぞれに「間借り」する方法。一方で二人が「同居」する方法である。

偶然にも、尾張と納富は後者、舟津と永瀬は前者の方だった。




■尾張真理×納富馨子展 ”おわりはじまり きょうこのごろ”

もともと、二人は2010年度の五美術大学交流展で一緒だった。お互いの人間性、作風の理解は、二人の名前をつなげた ”おわりはじまり きょうこのごろ” という、ニクいタイトルにも表れているように感じる。

尾張の大胆な色使いと、納富の繊細な筆遣い。
一見対照的に見えるが、色彩への貪欲な興味と、それを追求しようとする姿勢には、どこか共通点があるのではないか。

3.11の大震災について、アーティストとしての自分を考えたという二人。
展示室にはチャリティのポストカードが置かれていた。
そして展示室の窓側の天井近くには、絵巻物のような二人の共同制作作品が展示されていた。ハートや鳥、魚のモチーフが入り乱れ、表現する喜びを伝播させるような、色とりどりで優しい色彩である。

互いの作品を引き立て合い、共作を共存させ、見事に空間をシェアした展示であった。



■舟津明日香×永瀬智美

搬入時、地下階の薄暗い展示室には緊張が張り詰めていた。舟津と永瀬は、F3展の説明会で知り合ったという。学校は同じ、しかし面識はなかった。

二人の作品が、お互いに間借りをしながら、空間にさらなる緊張感を生み出した。

舟津の手縫いによる立体作品。
肌色と茶、赤という色が一見して人体を思わせる。それらは四角く押し込められ、細部をじっくり見てしまうと、そこにある物語を理解してしまいそうな緊張感に襲われる。それでも、指の隙間からこっそり見てしまうのが人の性である。

永瀬の作品にも不気味さが宿る。
マスタード色の球体には顔があるのか、だとすると、赤く流れるのは涙なのか、それとも。静かに、しかし確実に、画面の中では何かが起ころうとしている。そう感じさせる作品が並ぶ。




搬入時に立ちあっていた私は、ばたつく中で申し訳ないと思いつつも、4人それぞれと話す機会をもった。自分自身の中で、展示者の人柄と作品を結びつける貴重な機会である。

この4人にとって、F3展に関わったことで今までになかったつながりを結ぶきっかけを掴むことができたなら、至上のよろこびである。




レビュアー:善名朝子

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