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 一見すると、都市の夜景。
 しかし、目を凝らすと全く違うものであることが判ります。
 絶妙この上ない光の技によって、思わず見蕩れる美しく幻想的な世界を創り上げています。
 その燦めきや陰翳は目も眩むイルミネーションのような興奮を
与えてくれますし、いつまでも見飽きることがありません。

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塩見 徹 Nature of Civilization

 一見すると都市の夜景。
 あるいは独特の色彩に彩られた地図のようにも見える。

 深く輝く青や鮮やかに光を放つ緑をベースに、建物のようにも見える細かな構造物が一面に広がり、点在している。それらを繋ぐバイパスのようなラインが、時にその間を走り抜けている。
 しかし、目を凝らすと、地図や風景とは全く違うものであることが判る。
 そこで捉えられていたのは、電子機器の内部に据え付けられている基盤(ボード)であった。
 確かによく見ると、ものによっては文字が書かれている。チップを製造しているメーカーのロゴなどだ。

 この作品では、基盤そのものには手を加えていないし、撮影後の加工も行なっていない。
 あくまでも素材が持っている持ち味をそのままに、それを最大限に引き出せるようなライティングにこだわり抜いて作品を制作している。
 光の射す方向や角度を絶妙に設定することで、光と影の料や方向、その強さを調整し、立体的でメリハリの利いた画面を創り出している。
 これが光を捉えることにかけて確かな技を持つ塩見マジックの真骨頂である。
 これによって、際立つ色の美しさや燦めきと陰翳の織り成すあわいに見惚れてしまうことになる。
 まるで最近全国で盛り上がりを見せているイルミネーションを目の当たりにしたような興奮を感じることが出来る。
 いくら観ても見飽きることがなく、何度観ても新鮮な発見を覚えることが出来る。
 素材が持っている色彩を活かしながら、どこまでも澄んでいてしかも果てしなく深い色合いを表現しているというのは流石としか言いようがない。

 また、本来は掌に載る程度の小さな、そして微細なものが大きく引き延ばされていることにより、異化された非日常空間をそこに生み出している。
 そのことによって、本来「見せる」ことなど全く意識していなかった対象物はよりその実態を離れ多義性を持った存在へと擬態してしまう。
 またこの表現は、ある範囲の世代にとって原風景とも言うべきゲーム画面(とりわけ「ゼビウス」など)を思い起こさせるものともなっている。
 ゲームという世界にしても、日常と非日常の境界に存在していたものであり、その世界・空間はある種の「自然」であり「ふるさと」ともなり得る共同幻影=風景であった。
 このシリーズを観ると何か心の奥底に響くものを感じるのは、美しく印象的な世界であるということに留まらず、それら観る者の意識を揺さぶるようないくつもの仕掛けが意識的にか無意識にかはともかく施されていることにも拠っているために違いない。

 人工物と自然、生命とそれ以外のものとの関係を問い続けている塩見にとって、今回の「Nature of Civilization」というテーマは、まさに絶好のものであった。
 最早無数と言ってよい電子デバイスに取り囲まれ、その奉仕によって生活を成り立たせている現代人にとって、そういったものは既に「自然」な存在であり、それは太古の動植物が与えてくれたものに置き換わる位置を占めていると言えるのかもしれない。
 そうした電子デバイスによって形作られる「風景」は、われわれに新たな記憶を提供してくれる。

開催日 2014年02月22日~2014年03月23日
会場 Gallery Forgotten Dreams
会場住所 東京都江東区白河1-3-21 2F 地図
地域 東京 / 墨田区・葛飾区・江東区・江戸川区(お台場など)
東京都江東区白河1-3-21 2F
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