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自らの出身地「広島」を主題に、「ヒロシマ」という場所に対して人々が抱くイメージや、その場所が持つ機能や力、そこに向けられるまなざしをテーマに写真表現をおこなう吉本和樹の個展。本展では、2011年より取り組む、原爆ドームに対してカメラを向ける人々の後ろ姿を撮影したシリーズ《撮る人 A-bomb Dome》により構成します。

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撮る人 “toruhito” 吉本和樹 個展

 Gallery PARC[グランマーブル ギャラリー・パルク]では、2015年11月24日(火)から12月6日(日)まで、吉本和樹による個展「撮る人 “toruhito”」を開催いたします。

 2005年に日本写真映像専門学校を卒業、2007年に京都造形芸術大学情報デザイン学科を卒業、2012年に情報科学芸術大学院大学(IAMAS)を修了した吉本和樹(よしもと・かずき/1984年・広島県生まれ)は、写真をおもな表現媒体として、これまでに広島をモチーフに撮影をおこないながら、ヒロシマという場所に対して人々が抱くイメージや、その場所が持つ機能や力、そこに向けられるまなざしをテーマに制作活動を行っています。吉本の初個展となる本展は、2011年より取り組んでいる、原爆ドームに対してカメラを向ける人々の後ろ姿を撮影したシリーズ《撮る人 A-bomb Dome》により構成します。

 1945年に原子爆弾が投下された際、爆心地に残った産業奨励館という建築は、その残ったドーム状の鉄枠から「原爆ドーム」と呼ばれるものとなりました。その後、丹下健三の設計により1955年に設置された広島平和記念公園は、この原爆ドームを北の起点として南に原爆死没者慰霊碑、広島平和記念資料館が一直線に配されたもので、原爆ドームはいわばヒロシマのシンボルとして位置づけられたといえます。そして現在、広島市だけでも年間1165万人、うち海外から65万人以上の旅行者がこの地を訪れ、そのほとんどがこのドームを目にし、そこにカメラを向けているといえます。

 広島に生まれた吉本にとって「路面電車を降り、横断歩道を渡り、原爆ドームにたどり着く、そして写真を撮る。撮影する場所も、みんなだいたい同じ場所で撮影する」という光景はとても見慣れたものでした。しかし、ある時に「この一連の流れがオートメーション化されたもののように見えた」吉本は、その延々と繰り返される画一性に違和感を覚え、ドームと撮影者をひとつのファインダーに納めた写真を撮影したといいます。そして、撮影した写真を見返すうちに、次第にそこに写る撮影者の性別、国籍、年齢、体格、服装、服の皺、髪の毛の色、持ち物、カメラの構え方など、当たり前の「多様な違い」に純粋な興味を抱き、後日に「原爆ドームを撮影している人の背後に気づかれないようにそっと近づき、後ろ姿のみを撮影してみた。」と言います。ここで「 『原爆ドーム』を撮る人」への興味に端を発した吉本の撮影は、「 原爆ドームを『撮る人』 」へと被写体を移し《撮る人 A-bomb Dome》のシリーズ制作は始まりました。

 これまでのおよそ70年に渡り、広島は「ヒロシマ」、産業奨励館は「原爆ドーム」と呼ばれ、それはこの地を訪れる様々な人々と歴史的なコンテクストを共有する際のシンボルとして今も強力に機能しているといえます。しかし、その力があまりに強力すぎるが故に、ヒロシマやドームは私たちの目と思考を瞬時に引きつけ、私たちの、目の前のものをよく見る、目の前のものから思考する態度を瞬間的(あるいは永続的)に停止させてしまう要素をも併せ持つのかも知れません。

 吉本は、ここには言葉で形容しがたい独特な雰囲気があり、それは広島という街の隅々まで充満し、あるいはそれらについて考えた時にさえその雰囲気の存在を感じると言います。そして、その雰囲気の中心にはシンボルとして配置された原爆ドームがあると考えています。本シリーズの制作を通じて吉本は、この原爆ドームの周辺にあるモノや人を観察することで、その霞のような雰囲気に目を凝らし、その考察を試みるものです。

開催日 2015年11月24日 11:00~2015年12月06日 18:00
会場 Gallery PARC
会場住所 京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48 三条ありもとビル 地図
地域 京阪神 / 京都
京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48 三条ありもとビル
京阪神・京都
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