【美術展・展覧会】みなの衆 ―東京藝術大学鍛金研究室で学ぶ―
2016年12月15日(木) ~2017年1月19日(木)
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LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」では、日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男氏(アートディレクター)、宮田亮平氏(金工作家)、 伊東豊雄氏(建築家)、隈研吾氏(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化した展覧会を開催しています。
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イベントDATA
「クリエイションの未来展」の第10回となる今回は、金工作家の宮田亮平氏監修による 「みなの衆 -東京藝術大学鍛金研究室で学ぶ-」を開催します。
本展では会期を二期に分けて展示します。第一期では、監修者である宮田亮平氏と、東京藝術大学を卒業後全国の教育機関で後進の育成に力を注いでいる金工作家11人の作品合計12点を展示します。つづく第二期では、宮田亮平氏と東京藝術大学の現役の講師や助手と、東京藝術大学を学び舎とした造幣局の装金士の作品合計11点の展示を行います。
│展覧会の見どころ│日本伝統の金属工芸の「粋といま」をつくる「衆」のちから
東京藝術大学鍛金研究室は1895年に開設され約120年の歴史があります。鍛金とは、一枚の板金を叩いて色々な造形をつくり出す金属工芸技法で、宮田亮平氏はこの研究室で教鞭をとってきました。
鍛金研究室の工房は、金鎚で打ちのべる音や金属を熱する炎の音が鳴り響いています。一心に金属に向かい、硬質な金属を自由に操り、優美で繊細な作品を生み出します。まさに剛と柔を体現した「鍛金衆」の姿がそこにあります。鍛金衆の一門に入ると、自らの金鎚を制作するところからスタートします。ゼロからのものづくりを象徴する教えで、研究室が所有する道具の中には明治時代から受け継がれるものもあります。それらの道具は、歴代の鍛金衆によって活用されて、今でも大切に使われている「道具衆」なのです。
あまり知られていないことですが、造幣局では職員である装金士の技術の研鑽に東京藝術大学で上級研修を行っています。本展では造幣局の装金士たちの作品も同時に展示します。
東京藝術大学鍛金研究室は「衆」のちからで「粋といま」をつくる日本のものづくりの在り方を示しています。伝統を継承しつつ、さらなる可能性を示す“技”と“表現”の数々をぜひご覧ください。
│監修者・作家 宮田亮平氏からのコメント│
鍛金研究室とは、自由な場所である。そこで生まれる発想は自由で偏らない。鍛金作品をつくる前に道具を自分でつくるところからスタートする。つまり、根源から創作していくのだ。そのような場所で育った作家は、多様性を持つようになり、だからこそ教育機関で活躍もできる人材が多いのだと思う。この展覧会には、一見ベテランから若手までいるように見えるが、実はベテランなんてものはなく、全員若手。自分も、勿論そうだ。違いがあるのなら、経験値、すなわち“生きた失敗例”がどのくらいあるかに他ならない。また、教育機関で活躍している作家たちに言えることだが、少なからず自分の作品が学生たちに影響を及ぼしている。自分の背中を、常に学生たちに見られているのだ。そのような人たちを集めたことにも、この展示の大きな意味があるだろう。
今回出展される作品群には、そのほとんどが多様性という言葉を超えた、各人の表現が出ていると思うし、そうあるべきだと期待している。
「藝大鍛金研究室」と「造幣局」の関わりについて触れておこう。私が学部長だった時代に、造幣局からの委託研究生として上田君が入ってきた。造幣局の上級研修を鍛金研究室で受けるという制度であった。造幣局では徹底した相似形をつくるのが“命”。しかし藝大では、技のエキスは伝授するが、造形の“こころ”までは継承させない。そういう違いがある中で、大苦戦をしたが一年間に及ぶ研鑽により、上田くんの変化を見て非常に感動したのを覚えている。その後入ってきた三人も、ときにはカミナリを落としたが、すくすくと藝大で成長していくのが感じられた。彼らが得たのは、相似形でありながら、単なる機械工作とは違う、「似て非なる」仕事であったのだ。
今後、この研究室で学ぶ者には、期待はもちろん、驚きも感じたい。研究室では、基礎の鎚絞り(一枚の板を打って徐々にさまざまな形に変形させる技)をまず学ぶが、それの徹底した延長にいる人もいれば、そこから展開していく人もいる。作品を観ればその人がわかるもので、一番素直な心の鏡が「作品」である。この度の展覧会ではそこに注目してほしい。
私はいまだ「鍛金」とは何か、解き明かせない。それぞれが考えていくべきものだ。本展では、しっかりと継承された基礎をもとに、自らの手によって最後まで責任を持ち、モノづくりをしていく“衆”の力が発揮されていることと思う。そのような私たちに、鍛金の神様が「よっ、みなの衆」と呼びかけるのである。
│監修者・作家略歴│
宮田 亮平 (MIYATA Ryohei)
1945年 新潟県佐渡に生まれる
1972年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程鍛金専攻修了
1997年 東京藝術大学教授
2005年 東京藝術大学学長(~2016年3月)
2016年 4月~文化庁長官
1990年 文部省在外研究員(ドイツ)、個展(ドイツ)
2007年 第46回日本現代工芸美術展 内閣総理大臣賞受賞
2009年 第41回日展 内閣総理大臣賞受賞
2012年 第68回日本芸術院賞受賞
2013年 「宮田亮平展」高島屋(日本橋本店・横浜店・大阪店・JR名古屋店)
2015年 「宮田亮平展 海へ」三越(日本橋本店)
開催日 | 2016年12月15日~2017年01月19日 |
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会場 | LIXILギャラリー(東京会場) |
会場住所 | 東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL : GINZA 2F 地図 |
地域 | 東京 / 千代田区・中央区(銀座など) |
入場料 | 無料 |
営業時間 | 第一期 2016年12月15日(木)~2017年1月19日(木) 第二期 2017年1月21日(土)~2月25日(土) 10:00~18:00 休館日) 水曜日、12月28日(水)~1月4日(水) |
イベントURL | http://www1.lixil.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_003631.html |
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