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落合陽一と若佐慎一の2人展

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落合陽一 × 若佐慎一 ぐわぐわぬるぬる : 森からいづる不可視な境界線を廻って

本展示は、若佐と兼ねてから親交があったカリモク家具のアドバイザーである藤本美紗子氏(inu 合同会社)と出会った事がきっかけで始まりました。
展覧会のコンセプトは、先ず、カリモク家具が商品である家具を製造する過程で出る端材や、それに携わる社員、職人の方々の想いといった、表には出てこないモノコトの集積によって、商品が作られているという所に着目することに。それは、森と人との間に生まれた日本人的アニミズムによって生まれた価値観との繋がりがあると考え、森と人との間にある「見えないモノ」を展示コンセプトの中心として据えることとしました。

そこで以前、「凄い若い(https://www.instagram.com/sugoiwakai)」というブランドを共に立ち上げた経緯もあり、上記のテーマにも通じた創作活動を続ける落合陽一氏にお声がけすることにしました。

落合氏はこれまで、人間とコンピューターの境界領域が調和して1つになる新しい自然観「デジタルネイチャー」を軸に制作、活動をしてきました。本展では、デジタルネイチャーの上に新たな民藝はどう存在しうるのか?という問いから端を発することで実現した作品を中心に、木材を使用した新作を発表致します。作品は、作家が提供した3Dデータを元に、カリモク家具が持つ技術で制作を行う新しいコラボレーションによって実現します。

一方、若佐は日本の風土と宗教観をテーマに、漫画やゲーム、アニメの特徴とされる要素を作品内に取り込み、ペインティングを中心として発表してきました。近年、様々な素材を用いた彫刻作品も展開していますが、本展では初となる木材を使用した彫刻作品を発表致します。
素材となる木材は、カリモク家具の商品を生産する過程で生まれる端材を集めてブロック状にして、そこから制作を行なっており、自然やそこから派生するモノ・コトと日本人との関係性を表現した作品となっています。

COVID-19によって、外出制限など人との直接的な交流の制限要請がある中で、否が応でも自分と向き合わざるを得ない状況となり、「個」が強調されるポストコロナ時代に於いて、それがきっかけとなり、これから更にアイデンティティの探求が求めらる時代になると考えています。
「ぐわぐわぬるぬる:森から出づる不可視な境界線を廻って」と題されたこの展覧会は、国土の7割が森や木で覆われている風土によって生まれた歴史や文脈がもたらすアイデンティティを再考し、もともと、日本にある訳のわからなさ加減や非合理性、カオスティックな世界と混沌とした秩序などなど、様々な領域を横断しながら、相反するモノを常に内包しながら進み続けるこの世界に希望を見出しつつ、新たな可能性を探ります。

若佐慎一


ポストコロナの生活の変化は、定在遊牧時代ともいうべき状態に近づき、デジタルと身体の垣根はますます薄れていき、我々が生活や文化の中で憩う「豊かさ」の再考を我々に求めているように思う。この変化は狩猟採集社会、農耕工業社会、情報社会と変化してきた我々人類の変遷の中で定在遊牧性社会という新しい時代区分に差し掛かっているように見える。これは、社会それそのものの基盤がよりソリッドステートに近づき可動部分が少なくなり、人々の営みが生じる環境負荷についても明示的にトラッキングされる。その様は遊牧民が環境負荷に応じて彷徨う牧畜の群れとともに変遷することによって可視化されるように、我々もまた各々の環境負荷に明示的になりながら、この遍在する社会を生きることに繋がっている。その思考の連続の中で、改めて森や木の文化、精霊、神話、目に見えない・聞こえない、感じられないものを探していくことは信仰というよりは民藝的な倫理、むしろ生活の営みや規範を再認識し、自らが立脚する歴史的な文脈を理解することで生きることそれそのものに向かうための気力を養うことに近づいている。そこで再考される豊かさとは物質的・資本的なものに限らず,味わい深いコンテクストを理解したり、何気ない日常の調度品を眺めることの中に憩いや精神的充足を感じるような、時間と空間をより重層的に感じることによる心の豊かさを志向するものであろう。

「ぐわぐわぬるぬる : 森からいづる不可視な境界線を廻って」と題されたこの展覧会は、定在遊牧性から新たな豊かさを指向するコンテクストをもとに、より身体的でより非言語的な可能性へ、民藝的な展開を円空仏や廃品の再利用などを通じて行いながら、メディアとデータ、計算機と自然、木工に代表されるような狩猟採集時代の豊かさへのオマージュを通じて、身体性とグルーヴを描き出そうとしている。哲学者のイヴァンイリイチが1970年代にコンヴィヴィアリティを参照した際に悦な体験というものの宴会的性質を排除して考えていたが、民藝美は再び豊かな悦な体験を通じてリミックスされ,身体性をより喚起する方向へと変化すべきなのではないかと我々は考えている。この展覧会を通じて、身体と遍在性の関係、分断の超越、サステイナビリティと伝統や文化とのマリアージュを体感してほしい。見えぬもの、しかし感じられるもの、表現するための単語はないが、ひょっとしたら擬音語や擬態語のオノマトペがその身体感覚を表象できるものなのかもしれない。

落合陽一

開催日 2022年09月01日~2022年09月25日
会場 Karimoku Commons Tokyo
会場住所 東京都港区西麻布2丁目 22-5 地図
地域 東京 / 港区・文京区(六本木など)
入場料 無料
営業時間 12:00-18:00
(毎週日曜日は休館、最終日9/25(日)のみオープン)
イベントURL https://commons.karimoku.com/
東京都港区西麻布2丁目 22-5
東京・港区・文京区(...
2025/2/22 ~ 2025/3/2
東海・岐阜
2025/1/23 ~ 2025/2/24
九州・福岡
2025/1/5 ~ 2025/2/16

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