しもだて美術館は、平成23年度夏の展覧会として「榎木孝明水彩画展－スケッチ紀行－」を開催します。榎木孝明さんは、陶芸家・板谷波山の半生を描いた映画「HAZAN」で、主役「波山」を演じるなど、俳優として映画・テレビ・舞台で活躍する一方、世界各地を旅し、スケッチを描き続ける水彩画家としても知られています。本展は、榎木さんが描いた水彩スケッチ作品をご紹介する展覧会です。

　榎木さんは、1956(昭和31)年、鹿児島県生まれ、武蔵野美術大学デザイン科に学びました。俳優としてのご活躍は、誰もが知るところですが、絵を描くことについては、俳優になるよりもずっと以前から続けていらっしゃることになります。特に水彩画は、出合った風景の中で感じたことを、その場で絵に写し出すことが可能であることから、好んで描かれていらっしゃるようです。
描きたいと思った風景の中にどんな風が吹いているのかを感じることから、榎木さんのスケッチは始まります。榎木さんが描く作品は、あたたかい光と、心安らぐ透明感のある色彩にあふれ、旅の空の下で頬をなでて通り過ぎていく風の感触を、そっと私たちに伝えてくれるかのようです。

　現在は、北海道美瑛町や大分県飯田高原にも、榎木さんの作品を常時展示する「榎木孝明美術館」があり、また、全国各地で個展も開催され、ますます活躍の幅を広げていらっしゃいます。
榎木さんが当館へお出でになるのは、しもだて美術館開館記念の企画展「板谷波山展」(2004年)でのトークショー以来7年振り2度目になります。映画「HAZAN」の撮影が当市で行われたご縁によるものですが、榎木さんご自身の作品展についても、以来、市民の皆さんから広くご要望があり、当館でもようやく開催の運びとなりました。

　しかしながら、私たちは今、大きな災害を経験して初めての夏を迎えようとしています。きっとそれぞれに様々な思いを抱いていることでしょう。小さくても少しずつ前を向いて歩いて行くために、ゆっくりと深呼吸をしながら、榎木さんのこころの旅に触れ、心安らぐ時間を過ごしていただければと思います。展覧会では、アジアを始めとした外国の風景や、茨城県を始めとする日本各地の風景を描いた作品約120点をご紹介いたします。展覧会初日には榎木さんによるミニトーク＆サイン会も開催しますので、足をお運びいただきたいと思います。
また、関連行事として「東日本大震災復興祈念 がんばろう日本!! がんばろう筑西!!『わたしの大好きなふるさと、筑西』絵画・写真 作品募集」を美術館ロビーにて実施します。展覧会と併せて、ぜひご覧ください。

主催：しもだて美術館/筑西市教育委員会/筑西市

※掲載画像について
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