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落語版の番町皿屋敷「お菊の皿」を描きました。
ある夜のこと、男たちは近所のご近居から身の毛もよだつ話を聞かされます。それは朽ち果てた屋敷の古井戸から現れる幽霊、お菊にまつわる話でした。
「幽霊は皿の数を数えるが、九枚まで数える声を聞くと狂い死にするそうだぞ」
「では、六枚目ぐらいのところで逃げ出せば無事なわけだ」
さっそく見物に出かけた男たち。ところが彼らはお菊の美しさに一目惚れ、怖さも忘れて通い詰めるようになります。一方幽霊のお菊も、毎晩通ってくる男たちに愛想を振りまくようになりました。そうなると日ごとに見物客の数が増え、古井戸の周りには見物客のための小屋まで立つようになります。
ところがある夜、増えすぎた見物客のせいで出口が混雑し、お菊の数えが六枚を超えても見物客全員が逃げ出せないという事態が起きました。小屋の中はパニックです。
「九枚、十枚、十一枚…」
「あれっ、変だぞ。俺たち死なないぞ。しかもお菊ちゃんたら、十枚以上数えてるぜ」
「十七枚、十八枚…これでおしまい(枚)」
「ふざけやがって。いったいどういうことだい?」
詰め寄る男たちにお菊は答えます。
「だって明日は【お盆】じゃないか。休みたいから二日分数えたのさ」
お後がよろしいようで。

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