心月の子守唄
2019年3月26日~"La beauté japonaise" par GALLERY MAISON D’ART
今年の1月に亡くなった祖母が若い頃の写真を見ながら描いた絵です。題は祖母の故郷の唄「五木の子守唄」と祖母の名前の「サツキ」からつけました。亡くなった祖父母の両人が一回り違いの辰年だったことから身体と俗世を離れ龍になって昇天する絵にしました。
心月と書いてサツキと当て字にしました。心月とは仏教の言葉「明月のように澄みきっている、悟りを開いた心」(※三省堂)熊本県球磨郡はお城に繊月城と名付けて月を拝む習慣がありました。祖父母も月の綺麗な夜に手を合わせて祈っていました。
祖母の娘時代は戦争と復興で美しい晴れ着を着ることができなかったと話していたので若い頃の写真に艶やかな着物で描きました。
鯉が滝を昇ると龍になる伝説から、人吉の鹿目の滝を昇る鯉がサツキの花を纏った龍になって天に昇っていく図。五月晴れのまっさらな空に白い月、月の側には数年前に他界した祖父の龍が先に待っています。仲の良かった夫婦だったので仏になっても向こうで仲睦まじく暮らせる様にと願いました。
地元の神仏を隔てなく大事にしていた祖母なので空には観音水を流し、背景に国宝の青井阿蘇神社の楼門を描きました。もっと向こうの山を越えたら祖母の故郷である五木村があります。嫁ぎ先の人吉の鹿目の滝を昇るが如く過酷な人生をやっと昇り切って龍になった祖母は天高く目指し、空の上から祖父と一緒に故郷の五木村に戻るのだと思いました。
熊本は火の国なので鯉の対に燃えるような鳳凰が永久の浄土を祈っています。民謡民踊が好きだった祖母が美しい花飾りをして好きな踊りを舞い幸せな浄土で暮らせますようにと敬愛と育ててくれた恩義と感謝を込めて絵にしました。
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作成日 | 2019年03月06日 15:18 |
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