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・・・庭の隅に咲いた名も知らぬ小さな草の花とか、地に落ちた青桐の葉の影とか、そういう類いばかりを描いて淡彩を施すのを愉しみにしている孤独な少年がいた。
彼はまた程近い古沼の岸辺に出向いて、物思いに耽けることが好きだった。
そんなある時、不意にうしろに沓音がして、同年輩の巡礼の男の子が近づいてきた。
二人は互いに身の上を語り合った。
やがて頭上に星々が光りそめ、夜が落ちて再び朝になった時、水のおもてには抱き合った二箇の小さな屍体が浮んでいた。


---美少年とは、永劫転化の只中における素粒子的一閃である。
通りすがりに小路の奥に見た夕焼であって、五分間あとの帰途にはすでに残照に変わっている。---稲垣足穂

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