玉本奈々 ひらめきの画家-描くことの至福 国立フランス文化連盟創立会長 Dominique CHAPELLE
玉本奈々の創意に富んだあらゆる色彩は、ダイナミックな驚くほどの同等の情熱を生み出す。つまりある形が美的価値を持つために必要なのは、その形が私たちに美と崇高さへの感動を引き起こすことではなく、形が直感的意識の主要ななんらかの狙いを満たすものでなければならないということだ。
玉本奈々の作品は感覚的で、彼女は内なる純粋な感動に身を任せ、女性の素晴らしさに心をとめる。女性は彼女にインスピレーションを与え、布や糸、そして深い色彩で絶妙な調和を示唆し、その調和は抽象の限界まで達していることを示している。体と顔の完璧なまでの神秘は「母像」や「覗き」のような神秘主義的行程への長い探究を生み出して行く。一種の内的成就、そして静謐さに満たされるのである。
詩情溢れる庭園と途方もない夢を創造するため、布が毛糸や紗と遊ぶ長く根気ある仕事である。ずっと見ていると、手で触れることのできるこれら貴重な宝物の中に、意表をつく驚くべき浅レリーフが浮かんでくる。時折彼女は自然の流れのままに任せ、あるいはまた赤レリーフを際立たせる。細い筋、引き裂かれた線、傷、裂け目、ふくらみが、未知なる世界の多くの語られなかった言葉のように画布を飾りたてるのである。
しかしこのアーティストの偉大な魔力は、言葉の最も強い意味において、その精彩あふれる人物画にある。それは強い存在感を示し、鑑賞者は暴力ではなく反対に一種の明白さでもって引き起こされる対話の相手となるのである。芸術の最も深い源と再び結ばれる人間性ある肖像。あらゆる世界、あらゆる時代に共通の芸術である。
玉本奈々の彫刻絵画の量感、その色彩はあまりにも高い密度に掲げられてこの二者の関係が私たちに強く訴え、最高潮へと達している。色彩は単に彼女が埋める表面を飾るだけでなく、それ自体が彫刻された像を構成しているのである。またユーモアもある。何事もロ嘲笑することのないユーモア、喜び、そして永遠の青春に飽くことなく出会う驚きからくるユーモアである。
女性の体は、まるでアーティストが創造の結果よりも表現の動きを表そうとしているかのように、彫刻されるが如く作りだされる。彼女は職人の「こつ」で芸術の真実に至ろうと務め、このようにしてすべてが考えだされ、再び始められる貴重な時を見いだすのである。その作品群は広々とした劇場における近代的イコンを思い起こさせる。(一部抜粋)
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作成日 | 2021年04月03日 08:51 |
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