サロメ・七つのヴェールの踊り

2021年7月8日～7月13日『ワインとアートの美しき共演展3』出品作（ギャラリーイグエムアート）
サイレント映画の大女優セダ・バラをモデルにオスカー・ワイルドの『サロメ』を描きました。セダ・バラはハリウッド初のセックスシンボルになった女優で、男を喰らう程の魅力という意味で"The Vamp"と呼ばれていたそうです。1914年から1926年の間に40本以上の映画に出演する人気女優でしたが、セダ・バラは30歳近くになるまで通行人の役やエキストラが多く、 (1915)『愚者ありき』の映画で妖婦を演じてスターになった遅咲きの女優です。当時は特に若い女優が好まれた時代。年齢がいきすぎていると言われても、平凡な幸せを選ばず夢を諦めなかった信念に強く惹かれました。『サロメ』の劇中の踊り「七つのヴェールの踊り」をサロメの身体を狙う義理の父で暴君の前で踊る事で、主人公のサロメは愛を受け入れなかった預言者ヨカナーンの首を手に入れる事ができました。ヨカナーンは新約聖書ヨハネのことであり、聖者の生首にキスをするサロメの異様さを恐れた義理の父の命令でサロメも処刑されることになりました。セダ・バラという運命を切り開いた女優と、暴君である父の前でヴェールを脱ぎながら妖艶な踊りを披露し、相手を殺してまで愛を切望したサロメが重なりました。処刑される事で純潔と真実の心を守ったサロメが羨ましく思います。戦争の混乱で主演フィルムの殆どを焼失したセダ・バラと現代でも愛されるサロメの饗宴をキリストの血と称されるワインのラベルになるのがロマンティックだと思いました。美しい伝説は何度でも語り継がれ本物の魅力は永遠に残り続けます。