おかえり

　孤独や不安を苦にして死を選んでしまった人物であるが、実際には彼女の死を聞きつけ傍らに花を供えてくれる存在があった。立派な花束を供えてくれるものもあれば、路傍の花をひっつかみ急いで駆けつけてくれるものもあった。人であるか、動物であるか、物であるかは問わず、またその方法も様々であるが確かに彼女の心に寄り添ってくれる存在があった。そのことに気が付いた彼女はささやかな希望を取り戻し、再び目を開ける。という場面を描いた。
　絵の中の人物と同じように、生きてゆくうえで孤独や不安を抱える人は少なからずいると思う。苦しみの最中にあっては心に寄り添ってくれる存在があることにも気が付くことが難しいかもしれないが、そのような存在がある、または得られる可能性を否定しないでほしい。そして苦しみが多少なりとも軽くなったときに、この絵のことを思い出してほしい、という思いを込めて制作した。