薔薇が咲いている
古い木造の壁に
赤い薔薇だ
蔓が伸びて
枯れているように眠り
いつかまた葉を広げ
蕾を付ける
膨らむつぼみは小さくて
ゆっくり花弁が開くのを
じっと見守る日々
時はせわしく走り回る周囲
それでも薔薇はじっとゆっくりと空を見上げて咲こうとしている
寒いも暖かい日も超えて
一輪づつゆっくりと
古い木造家屋はいつ壊されてしまうかも知れない
そのときは根本から引き抜かれてしまうだろう薔薇
それでもゆっくりと
ほんとうにゆっくりと
毎年、毎年、毎年・・・
枯れたような蔓から葉を広げ
蕾を一つずつ実らせようと空に向かう
真っ赤な花を一輪咲かせるために
蔓もやがて花の色に染まる
雪の日も曇りの日も雨の日も晴れた日も
ゆっくりと毎日すこしずつ成長を重ねている
それを毎日ではないけれど
通る度に見守る私
いつ無くなってもおかしくないこのスピードの中で
その赤い薔薇は、
ほんとうにゆっくりと花を開いていく。
わたしはそれをひっそりと見守るだけしかできないけれど
愛しい花
陰日向、ひっそり路傍に咲く花に
明日があるように
こころから。

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文芸・詩

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作成者	浅野　毅
作成日	2011年03月16日 11:27

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