みどりいろのかいじゅう
朝おきると、みどりいろのかいじゅうが座っていました。
おかあさんに訪ねると、
「お店の人にどうしても買ってほしいってたのまれちゃって」と言いいました。
かいじゅうは、とってもこわい顔をしていました。
だまっているので、「名前はなんていうの?」ときくと、
「みどりいろのかいじゅうです」と答えました。
その日からみどりいろのかいじゅうとの暮らしが始まりました。
かいじゅうは、顔はこわいけどとても優しくて、
わたしが落ち込んでいると、はさみで器用に切り絵をつくってみせてくれました。
3時にはとてもお行儀よく紅茶を飲みました。
かいじゅうは外を歩くとみんなにこわがられました。
「大きな口で食べられるんじゃないか」
「大きな体にふみつぶされそうだ」
かいじゅうはみんなと仲良くしたかったけど、友達に近づくだけでわーんと泣かれてしまいました。
ある日町長さんが家に訪ねてきました。
「おたくのかいじゅうですがね、苦情がたくさんきていて、困っているんですよ」
町長さんはえらく難しそうな顔をしながら紅茶をずるずるとすすりました。
わたしは「きたないなあ」と思いました。
町長さんは「この町から出て行ってくれませんか」と言いました。
その夜かいじゅうとおかあさんとわたしは夜遅くまで話しました。
おかあさんは、かいじゅうが、どうしたらみんなと仲良くなれるか考えました。
でもかいじゅうは、「ぼく、この町を出て行きます」と言いました。
おかあさんとわたしは、お父さんのチェックのシャツを切って、
かいじゅうにチョッキをつくりました。
かいじゅうは「ぼく、イギリスの紳士になりたかったんです。チョッキなんて嬉しい贈り物だあ」といって喜びました。
かいじゅうは朝早く家を出て行きました。
新品のチョッキがぴかぴかと朝日に照らされていました。
かいじゅうは遠い町で今日も紅茶を飲んでいるでしょう。
- タグ[編集]
- このページにタグをつけてみませんか?
作成者 | |
---|---|
作成日 | 2011年08月20日 19:54 |
BRAVO SEAL
FAN 8
COMMENT
会員登録をしてコメントしよう!
作成したイベント
個展「AFTER THE DREAM」
個展「AFTER THE DREAM」 中目黒の美容院KISAIで展示を開催しています。 ...