ある工場経営者の手記
ある工場の経営者は妻と子と仲むつまじく暮らし、工場経営も順風満帆、職員達も不満なく仕事をした。ある日、経営者の妻子が行方不明になった事件性あるものと思われたが行方知らずのまま時はすぎ、経営者は精神不安に陥り、工場は閉鎖された。久しぶりにこの工場を知ったのは、あるTV番組を観ていたからだ。経営者だった男は、工場を閉鎖後、工場を改装し、自らアーティストと名乗っていた。鴉や鼠…動物の剥製と流木やブリキ等の金属で繋ぎ合わせたキメラの様なオブジェを作品と称し、一風変わったワンダーランド・ミュージアムへと工場は変貌していた。エキセントリックな言動と饒舌さを持ち合わせる元経営者の男。 いちやく時の人となった男は世間から奇異な目で見られるも人気を博し、生を全う。悲劇のアーティストとして尊崇された。取り壊しが決まった工場ミュージアムから、埋め込まれた妻子の遺体が発見されるまでは。
- タグ[編集]
- このページにタグをつけてみませんか?
作成者 | |
---|---|
作成日 | 2011年10月08日 11:12 |