草の国の、おとなしい控えめなお姫様
今日はそんな彼女の、初恋の物語を


「わたし、あなたが好き」

あらあら、だれかが愛の告白をしてるわよ
ずいぶん勇気のある女の子ね…って、あれはお姫様？

「僕も好きだよ」
ってとなりで笑うのは、この国いちばんののんびり屋『お花屋さん』

すると彼女はうれしい！って手を合わせ、
「じゃあ明日のお昼に、またここでね？」

そう言い残すと、あらあら、お部屋にもどってしまいました

コンコン
はいどうぞ、の声を聞いて、ドアを開けて

「お姉さま！こっちに来てたんですね」

いつものお姫様だわ、さっきの告白とは別人のよう。

「あのね…偶然見ちゃったんだけど、お花屋さんと…」

「うふふ、告白しちゃいました。明日のデート、何を着るか迷ってて」


「あ、お姉さま？お兄さまには、内緒にしててくださいね？」

「…その花かんむり、すっごく素敵よ」

あれもちがう、これもちがうとずっと鏡から離れずに言うもんだから
圧倒されて、思わず出てきちゃった


「ただいまー…王子様？」

「おかえりなさい…ってあれ？ハーブ、もらってこなかったの？」

「あ、草の国もいま、あんまりないみたいなの」


(お姫様が明日デートだからもらえなかったの、なんて、王子様には言えないわ)

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作成者	easter
作成日	2011年11月12日 10:05

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